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モヤ綴るナダル「感謝と労い」

カルロス・モヤ、ラファエル・ナダル
(デ杯に向けた練習を行う)モヤとナダル
画像提供: ゲッティイメージズ
男子プロテニス協会のATP公式サイトは20日、19日に現役を引退した元世界ランク1位のR・ナダル(スペイン)のコーチを2017年から2024年まで務めたC・モヤ(スペイン)の手記を公開した。ナダルが11歳のころからある親交、コーチ就任の経緯やキャリア最後の瞬間まで綴られている。

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自身も元世界ランク1位であるモヤは2016年までM・ラオニッチ(カナダ)のコーチを務めていたが、2017年からはナダルの陣営に入り、キャリアの最後までをともにした。

ナダルは現在開催中の国別対抗戦デビスカップファイナルズ ファイナル8(スペイン/マラガ、室内ハード)に出場し、準々決勝でオランダに敗戦。19日に現役引退となった。

手記には11歳当時のナダルとの出会いやコーチ就任の経緯。そして今後について綴られた。

以下はモヤの手記すべてになる。

ラファに初めて会ったのは、彼が11歳のとき、シュトゥットガルトだった。彼はナイキ・ジュニアツアーの12歳以下のカテゴリーのトーナメントに出場していて、僕は同じ街で開催されたマスターズ1000に出場していた。当時はスーパー9かマスターズ・シリーズのカテゴリーだったと思うけど、今は覚えていない。僕はベッカーとプレーしていたが、前日の練習にラファがナイキの人と一緒に来ていて、その人に紹介されたんだ。10分間だけ一緒にプレーしないかと誘われて、少しノックをした。それが、僕らが初めてすれ違ったときだったね。彼はとてもシャイでお調子者で、ほとんどしゃべらない少年だと思っていた。でも、コート上の彼は一変した。彼のテンションは同年代にしてはとても高かった。

その後、2016年にチームから電話をもらったのはとても嬉しかったが、まずは彼と2人きりで話をしたかった。彼は2シーズンうまくいかなかった後だったし、30歳で、この先どうしたらいいのかわからなかった。僕らは僕の家で話をし、彼は僕に目標を示した。僕は少しもためらうことなくそれを受け入れた。僕は大きな自信を持っていたし、彼がトップでグランドスラムのタイトルを獲るという、あるべき姿に戻ろうとする意欲を見たとき、迷わずこのプロジェクトに参加した。

その願望があれば、彼なら完璧に達成できると思ったからだ。

正直なところ、新しい役割は大きな変化だから、もっと難しいと思っていた。僕らは20年来の友人で、コート内外で多くのことを共有してきた。彼のコーチになるというのは......。確かにラファはとても礼儀正しく、敬意を払っている。それは僕も大切にしていることで、彼と一緒に仕事をするときに役立った。僕は 「ボス」という言葉は好きではないが、時には決断を下したり、簡単ではない会話をすることもある。それが友情の面を損なってしまうのではないかと怖かったけど、そんなことはなかった。

その間、驚いたことは何もなかったが、感心したことはたくさんあった。彼に対する僕の期待は常に高かったから、まったく驚かなかった。しかし、彼の進化と向上の能力にはいつも驚かされるのは事実だ。

個人的には、彼がすべてのポイントをまるで前のポイントがなかったかのようにプレーできるという事実に魅了されている。ラファは、悪いことが起こってもそれを一旦横に置いて忘れることができる。それが、彼がすべてのポイント、すべてのセット、すべての試合で戦うことを可能にする鍵のひとつであり、彼がここまで成長できた鍵のひとつなのだ。レジリエンス(resilience)の定義は、非常にファッショナブルな言葉であるが、ラファのことであると思う。彼は、特にけがで何度も倒れたが、常に立ち直り、復活してきた。そのスキルは信じられないほどで、僕が知らない他の選手なら驚くようなものだが、僕はラファを知っているから驚かない。彼をすごく尊敬しているんだ。

すべてが終わった今、僕の人生の中で、この上ない素晴らしい時期の思い出がたくさんある。それは常に心に残るものだ。この冒険のために僕が彼のチームの一員になれると彼が考えてくれたことに感謝している。僕は多くのことを学び、このスポーツの歴史上偉大な人物の1人と8年間を過ごす機会を得た。

もちろん、恋しくなることもあるだろうが、それはありがたいことだ。彼のような選手と、彼のような人と、チームとともに過ごしたすべての時間を楽しむことができたのだから。

振り返ってノスタルジーを感じる瞬間もあるだろうが、僕は常に新しい始まりをポジティブに捉えている。幸い、僕には素晴らしい家族がいて、多くの時間を一緒に過ごすことができる。懐かしさも感じるだろうが、何よりも感じるのは感謝と労いの気持ちだ。

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