男子プロテニス協会のATPは10日、6月のアスピリア・テニスカップ(イタリア/ミラノ、クレー、ATPチャレンジャー)でチャレンジャー大会初優勝を果たした27歳のF・ゴメス(アルゼンチン)を特集。2年間、テニスクラブでコーチを務めていた経験やキャリアを見直すきっかけとなった新型コロナウイルスの感染拡大の期間などチャレンジャー大会初優勝までの道のりを振り返った。
>>ルバキナ、クレチコバらウィンブルドン組合せ<<>>ジョコビッチらウィンブルドン組合せ<<2019年にアメリカのケンタッキー州にあるルイビル大学を卒業したゴメスはプロへの道に進むことを諦めきれないなか、朝から夜までオフィスで働く選択肢をとらず、テニスコーチとなることを決意する。しかし、2019年冬から2020年前半は新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るい、いつか大学レベルを超えてテニスをプレーしたいというゴメスの思いが崩れ落ちていくこととなった。
約2年間、テニスコーチとして毎日11時間球出しとコーチングを行っていたゴメスだったが、競技としてのテニスが恋しくなってくる。そして、新型コロナウイルスのプロトコルが徐々に緩和され始めた2021年9月に友人であるペドロ・カニサに頼み、キャリアを始動させるための資金援助を受けることとなった。
「(当時は)コーチとして働いていたし、幸せだった。泊まるところもあるし、車だってあった。すべてが順調だったけど、それ以外の何かが欠けていたんだ」
「ペドロは僕が試合をしているのを見て『おい、何をしているんだ?教えるのはその後だ!今は教える必要はない。もう1度、自分にチャンスをあげたらどうだ』って言ってくれた。僕が今ここにいるのは、彼の存在が大きかったね」
そして今年、ゴメスはITF大会とチャレンジャー大会を中心に16大会出場。そのすべてがクレーコートの大会だった。そして17大会目となった6月のアスピリア・テニスカップでは予選2試合を勝ち抜き本戦入りすると、さらに5試合に勝利し優勝。7試合のうち5試合にストレート勝ちをおさめ、フルセットとなった2試合はいずれも逆転勝ちだった。
「僕はただ教え、(コーチングで)生計を立てようとしていた。フィットネスをやっているだけで、健康を維持しようとしていた。でも“テニス”は全然だったんだ。この2年間、両手でバックハンドを打ったことはなかったと思う。午前中か午後の遅い時間にフィットネスをしていただけ。時間がなかったし、ツアー全体のメンタリティから切り離されていたんだ」
それでもチャレンジャーツアーを勝ち抜いたゴメスは得意とするクレーコートで優勝。27歳でのチャレンジャー大会初優勝は今シーズンの最年長記録となる。
アルゼンチンにいる両親とミラノから連絡を取っていたゴメスだったが、時差もある。予選1回戦を勝利したゴメスの試合を、母は早朝のためライブで見ることはできなかった。
ゲンを担いだ母はその後もゴメスの試合を見ないという選択をとり、試合がある日は早起きしてスコアのみを追っていた。最後まで両親は試合を見ずに過ごしたが、優勝後にゴメスが電話すると文字通り“叫び”ながら喜んでくれたと明かした。
「両親にとっては物凄く早い時間だったから、最初の試合を見ることができなかったんだ。予選の1回戦で僕は1試合目だったんだけど、両親は見てなかった。僕が勝ったから、母は試合を見ないようにしようとした。もう試合は見てくれなかった。ただスコアを追っていたんだ」
「(優勝したあと)僕が電話して、少し会話をした。彼らは叫んでいて、とても喜んでくれた(笑)。彼らの顔を見るのが本当に楽しかった。僕が目標に到達するために、彼らが何年も費やしてきた努力のすべてをね。前に進むための大きな一歩を踏み出せたんだ」
ミラノでの優勝後、キャリアハイとなる世界ランク224位に浮上したゴメスは現在もその順位をマークしている。
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