男子テニスで今月現役を引退した元世界ランク36位の
杉田祐一が19日に公式ブログを更新。「引退報告」と題し、想いを綴った。
35歳の杉田は2006年にプロ転向。2017年のアンタルヤ・オープン(トルコ/アンタルヤ、芝、ATP250)で日本人として史上3人目のATPツアーシングルス優勝を成し遂げた。
世界ランキングは2017年の10月に記録した36位が最高で、これはオープン化以降で
錦織圭、
西岡良仁に次ぐ日本人男子歴代3位の記録である。
その杉田は昨年7月に現役生活に終止符を打つことを発表。今後はジュニア選手の育成に携わるとした。
そして今月行われた第38回テニス日本リーグで杉田は現役を引退。18日には引退セレモニーが行われた。
引退セレモニーでは涙ながらに「幸せなプロ生活だったなと思っています」と語った。
そして引退セレモニーから一夜明けた19日に杉田は自身のブログを更新し想いを綴った。
【杉田祐一のブログ全文】
引退報告
本当にありがとうございました。試合前に色々と書こうと思っていたのですが、何も纏まらずこのような形になってしまったことをお許し下さい。
素晴らしいテニス選手生活をおくらせてくださいましたことを、これまで支えてくださいました皆さんと多くのご声援くださいました皆様に心から感謝しております。
いつもブログは何度も書き直しているので、最後は、ありのまま書いていきたいと思います。
最後の最後まで自分を認める事ができなかった事を悔しく思います。できない自分を認める事がとにかく私はできませんでした。試合に負けて泣くことができず、どうしてあの時あのプレーができなかったのかといつも自分を責めてばっかりいました。いつの日か、圭(錦織圭 選手)やよっしー(西岡良仁 選手)に試合で負けて泣くことって未だにある?と聞いたことがあって、その時皆、全然あるよと答えていました。二人共きっとベストを尽くした自分を認めてあげることのできる選手なのだと思います。自分はいつもどんな良い試合で悔しい敗戦でも自分を責め認めることができなかったのだと数年前に感じていました。
せめて引退の時くらいはできるのかと思っていましたが最後の最後まで自分を認めて試合することができなかったことに笑えてしまいます。
自分を認めて可能性を信じて、自分はこんなプレーもできるんだぞ!という気持ちでプレーを楽しむことができればもしかしたらもっと幅の効いたプレーできたのではないかと少しばかり後悔の気持ちもあります。しかしながらもしかしたらこんな完璧主義な性格だからこそ、ここまでこれたのかもしれないとも思っています。しかし最後の引退時に人前で泣くことが出来たことは今までの自分では絶対に出来なかったことなので、自分を認めてあげれたのかもしれません。
これまでご声援頂いたファンの方々に限界のプレーをお見せできなかった事は大変申し訳なく思っており、多くの活動をしながらの最後となってしまいました。
今思えば、私の選手生活は2021年のUSオープン(キャスパー・ルードとの試合)が選手としての最後だったのだと思います。コロナの影響とギリギリだった気持ちが一度切れてしまい休養を取ってしまったあの時が選手としての終わりだったのだと思います。
しかしながらここまでトライをさせてくださったスポンサーの方々、チームの皆様のお陰で今日まで限界を追うことを許可してくださいました。本当に本当にありがとうございます。
今から選手を目指す皆さんは本当に大変な道のりになると思います。こんな状況だからこそ自分の経験と必要なサポートをやっていかなければと思っております。
これからの選手、アカデミー生徒の皆さんに自分のできなかったことを押し付ける気は全くありません。彼ら彼女らの可能性を最大限高められるようサポートをしていきたく思っています。いい形で伝えることができれば、これが本当のテニス選手としての引退になるのだと感じています。いち早くその日が来てくれることを望んでいます。
いやー。。実は本当に調子が良かったんです。練習の時は全盛期のプレーができていると感じたほどプレーに自信がありました。コーチをしていてここはこうすれば良かったんだと気付かされる事が多くとんでもない自信が湧いていました。現役の選手たちとマッチ練習をして一セットも落とさずプレーができていたのです。ですが気持ちが調整できなかったことは長いこと戦いから離れてしまっていたからなのだと思います。戦いの渦の中にいるということはとてもとても重要なことなのです。そのレベルをどんどん上げていってくれることを次の世代に伝えていかなければと思っております。
なにはともあれ自身の戦いは終わりです。選手生活はいつ終わりを迎えてもおかしくない、本当に繊細なものです。この芸術文化をどうか引き続き皆さんの手で守り抜いて頂きたいです。私もその為に、戦っていくつもりです。今の日本にこの芸術文化を守り抜く力があるかどうかとても難しい状況ではありますが、日本の強さを信じ、美しい心を信じ、時代を繋ぐ強さを皆様で証明していきたいと思っております。
次の世代のためにもう少しだけ私にお力をお貸ししていただきたいです。編集なく書き綴ったありのままの気持ちを書かせてもらいました。
これからも皆様と一緒に戦えることを楽しみに次のキャリアへと向かいたいと思います。引き続きどうかよろしくお願い致します。
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