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今年男子テニス界で、たくさんの選手やテニスファンに惜しまれながらも、最高の形で現役引退したJ・C・フェレーロ(スペイン)。本日はコラム第2弾その2をお届けします。
2003年に世界王者の座を手にし貴公子として大活躍していたフェレーロは、2004年の全豪オープンでベスト4へ進出するも、ここから下降していくこととなる。
2003年にグランドスラム初優勝を飾った全仏オープンでは1回戦のT・ハース(ドイツ)に勝利するも、2回戦でI・アンドレエフ(ロシア)の強烈なスピンのかかったショットに対応できず、まさかの2回戦敗退。
その後も2004年シーズンは初戦敗退が続き、9月には世界ランキングでトップ10圏外となり、同年のシーズン終盤では30位台にまで落ち込んでしまう。また、この頃フェレーロは、特徴であったプリンスのラケットからヘッドのラケットに変えた。以降、黒塗りのラケットなどを使用するなどしたが、本来のテニスを発揮できずにいた。
しかし、2006年のW&SマスターズでJ・ブレーク(アメリカ)、R・ソデルリング(スウェーデン)、さらに当時世界2位のR・ナダル(スペイン)などの強豪を撃破したフェレーロは決勝へ進出する。決勝では2003年全米オープン決勝の再現となるA・ロディック(アメリカ)と対戦し、3-6, 4-6のストレートで敗れるも、迫力あるストローク戦を披露した。
翌年はモンテカルロ・マスターズでR・フェデラー(スイス)に敗れるもベスト4進出、さらにこれまで結果を残せていなかったウィンブルドンで準々決勝まで勝ち進む。
2008年には以前使用していたプリンスのラケットに戻し、全豪オープンでは強敵D・ナルバンディアン(アルゼンチン)にストレートで勝利するなどで、徐々にかつての調子を取り戻す。
2009年、フェレーロは得意とするクレーコートのATP250大会であるハッサン2世グランプリで、約ツアー6年ぶりとなるタイトルを獲得。さらにウィンブルドンでは主催者推薦で出場し3回戦のF・ゴンサレス(チリ)との対戦で、日没寸前の末に4-6, 7-5, 6-4, 4-6, 6-4の大激闘を制す。その後、G・シモン(フランス)に勝利しベスト8まで勝ち進むも、準々決勝でA・マレー(英国)にストレートで敗れた。
翌年2010年は貴公子と呼ばれたフェレーロを思い起こすようなプレーでブラジル・オープン優勝、さらにクラロ杯ではD・フェレール(スペイン)に逆転で勝利し、2週連続で優勝した。また、7月に行われたクロアチア・オープンで、その年ツアー3勝目をあげる活躍をみせた。
2011年はメルセデス・カップでツアー16勝目。フェレーロにとってこれが最後のタイトル獲得となった。
同年の全米オープン2回戦でG・モンフィス(フランス)と対戦し、7-6 (7-5), 5-7, 6-7 (5-7), 6-4, 6-4の激闘を制した。その時についてフェレーロは「サービング・フォー・ザ・マッチの時、コート上では特別な感情が沸き起こった。観客の皆さん全てが試合を楽しんでくれているのを目の当たりにした。彼らはこういった試合が大好き。だから、その場にいられることは素晴らしいこと。」と、コメント。加えて「この試合はとても多くの意味を持っている。長い間、コートの中でこれほど楽しめたことはなかったから。」と、これまでの想いも告白した。
そして、今年9月にフェレーロは祖国スペインのバレンシアで開催されるバレンシア・オープンで現役引退することを発表した。
引退については「バレンシア・オープンが現役最後の大会になる。引退するには一番の場所だと思っている。ここ数年は怪我泣かされて満足なシーズンを送ることができなかった。今シーズンは、プロになって14年間持ち続けた情熱を保つことができない複雑なシーズンになってしまったよ。」と、気持ちを語った。
そして、10月に行われたバレンシア・オープン、フェレーロの1回戦の相手は同胞のN・アルマグロ(スペイン)だった。結果、ストレートで敗れたフェレーロは「最初にドローを見た時は、正直嬉しくはなかった。彼(アルマグロ)は対戦したくない選手の一人だったから。とても親しい仲間だし、練習も一緒にしていた。でも考え方を変えたら、自分の最後の試合を大切な友人と戦えるのは後悔なく引退ができるとも思えるようになった。」
さらに「テニス人生を通して、自分はとても負けず嫌いな選手だった。でも今は、そんな感情が自分の中にもうないと感じてしまった。そうなると世界で戦っていくレベルを維持するのは難しくなってしまう。もうちょっとは現役を続けられたのかもしれないけど、自分は完璧主義者だから、このタイミングで引退するべきだと思ったんだ。」と、コメントした。
今後はコーチとしてアルマグロと共にツアーを回ることを明かしている。
引退セレモニーではナダル、フェレール、F・ベルダスコ(スペイン)、T・ロブレド(スペイン)、M・グラノジェルス(スペイン)、M・ロペス(スペイン)、A・コスタ(スペイン)、L・ヒューイット(オーストラリア)、シモン、A・ドルゴポロフ(ウクライナ)、J・モナコ(アルゼンチン)、そしてシングルス最後の対戦相手となったアルマグロなど、共に戦ってきた戦友達が駆けつけ、フェレーロの目には涙が浮かんでいた。
まさに祖国スペインで最高の戦友たちと「涙のフィナーレ」で、自身の現役生活を締めくくった。
【フアン=カルロス・フェレーロ】
プロ転向:1998年
キャリア通算成績:479勝262敗
グランドスラムタイトル:2003年 全仏オープン
自己最高ランク:1位(2003年)
《「貴公子フェレーロ、やっと手にしたビッグタイトル◇第2弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》
《「ロディック、ギルバートと手を組み栄冠◇第1弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》
《「ロディックに「フェデラー」という壁が立ちはだかる◇第1弾 2012引退シリーズ その2」はこちら》
《「フェデラー最大の被害者となったロディック「自分がどう感じるかが重要」◇第1弾 2012引退シリーズ その3」はこちら》
【明日12月4日(火)は、今年のフェデラーについて振り返ります】
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