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元天才少女の復活から2年。2度目の現役生活を送っていたツアー屈指の人気選手、M・ヒンギス(スイス)がコカイン陽性疑惑を告白し、再びコートを去った。
11月1日に記者会見を開いたヒンギスは、今年のウィンブルドン期間中に行われたドーピング検査でコカインの陽性反応が出たことを明かし、同時にツアーからの現役引退を表明した。ヒンギスが検査を受けたのは、L・グランビル(アメリカ)に敗れた3回戦の後で、その後はUSオープンを含む夏のアメリカ・ハードコート大会に参戦。9月の北京の大会を最後に、その後は左臀部の怪我を理由に今季のプレーを終了していた。
グランドスラム大会で5度の優勝を飾っている元世界ランク1位のヒンギスは、「3年の休養を経てツアーに復帰してきて、3大会で優勝でき、ランキングも最高で6位まで上がりました。でも、私はもう27歳で、臀部の故障などもあって、トップクラスでプレーするには年を取り過ぎたと思います。それで、もうツアーで戦わないと決めました。外部委託の会社による検査で、ウィンブルドン選手権の大会中にコカイン陽性反応が出たと告訴されています。これはとてつもなく酷いもので、報道陣に明かすことで真っ向から戦っていく決意をしました。今はとても怒り心頭ですし、私は絶対的に100パーセント無実です。しかし、私はこのような告訴にやる気を無くしていますし、もう一度カムバックする気もありません。この先何年間もドーピング機関と争うことに時間を費やそうとは思っていません。」と、自身の潔白を主張すると共に、ツアーからの引退も明らかにした。
27歳のヒンギスは、シングルス通算43勝、ダブルス通算37勝を獲得。生涯獲得賞金は2013万657ドルにも上る。ヒンギスは、テニス界の伝説と言われるM・ナブラチロワ(アメリカ)と同じ『マルチナ』という名前を授かり、2歳のときからコーチでもある母親の下でテニスを始めた。
1994年に地元スイスでツアー・デビューを果たし、その年の全てのグランドスラム本戦に出場し、早くから才能を見せ付けた。1996年には当時世界ランク1位のS・グラーフに初勝利して注目を集め、同年ツアー初優勝を飾ってトップ10入りを果たした。翌年はシーズン序盤から37連勝を記録し、12タイトルを獲得。念願のランキング1位の座にも就き、『Player Of The Year』を受賞した。同時に16歳3ヶ月26日で全豪オープンを制し、20世紀で最年少グランドスラム・チャンピオンとなった。全豪オープンではその後3連覇を成し遂げた。
97年は春先に痛めた膝のせいで2ヶ月間のツアー離脱を余儀なくされるものの、ウィンブルドンとUSオープンでも優勝を飾って、その後1998年にL・ダベンポート(アメリカ)に明け渡すまで、80週連続世界ランク1位に君臨した。2000年には20大会中18大会でベスト4以上に進出し、9大会で優勝。再び世界ランク1位の座に返り咲き、合計して209週間も女王の座を維持した。その後足首の怪我に悩まされ、2003年に一度ツアーから引退したものの、2006年に現役に電撃復帰。その後は1年でトップ10に復帰し、年末最終戦ツアーチャンピオンシップにも出場。元女王の復活元年としては十分すぎる活躍を果たし、『WTA Comeback Of The Year』にも輝いた。
今季は、相性のよい全豪オープンでベスト8に進出し、東レ・パンパシフィック・オープンで5度目の栄冠に輝いたが、これが最後のツアー優勝となった。
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