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もう誰も「ノミの心臓」とは呼ばないだろう。世界ランキング1位で今大会に乗り込んだモレスモが、第1シードの重圧をはね返して初優勝。トップシードの制覇は3年ぶりで、1月の全豪オープンに続く自身2度目の4大大会優勝を遂げた。
女子では珍しいサーブアンドボレーを武器に「自分には最もチャンスがある大会」と言い続けてきたウィンブルドンの芝のコートで、ようやく実力を発揮した。時速192キロを記録したサーブは、今大会の女子最速タイ。美しい片手打ちバックハンドの競演でも、相手に打ち勝った。
大舞台になると緊張で体が動かなくなる精神面の弱さで、栄冠には届かなかった。ウィンブルドンでは昨年を含め準決勝敗退が3度もあった。本人が「大きな転機になった」と振り返るのが、昨季最終戦のツアー選手権優勝だ。自信を増して臨んだ全豪で4大大会初制覇し、一皮むけた。
シャラポワ(ロシア)との準決勝は、1セット先取から第2セットを逆転で失った。これまでなら一気に崩れるパターンだが「彼女も硬くなっているのを見てわたしだけではないと思った」。最終セットで盛り返し、成長ぶりを印象づけた。
この種目でフランス選手の優勝は伝説の名選手、スザンヌ・ランランが1925年に6度目のタイトルを獲得して以来、81年ぶり。サッカーのワールドカップ(W杯)で母国は9日の決勝に進んだ。「フレンチウイークになるといいわね」と、“ダブル制覇”に期待した。(共同)(了)
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