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杉山、2年ぶりのベスト8進出 |
画像提供:tennis365.net |
(東京、有明)
AIGオープン4日目、センターコートの第4試合で、第5シードの杉山 愛(日本)がC・パン(フランス)と試合を行い、3-6, 6-3, 6-4で競り勝ち、準々決勝進出を決めた。杉山は去年は今大会に出場していないが、これで2年前に続くベスト8進出となり、他の日本勢が全て姿を消す中、一人上位進出を目指す。
第1セットは杉山はストロークの速さでは勝っていたものの、どんなボールでも返してくるパンに対して決め手を欠く出だしとなった。4ゲーム目まではお互いにブレイク合戦となり、ようやく5ゲーム目にパンがサービスキープすると、6ゲーム目では杉山がサービスキープできず、4-2とリードを許した。続く第7ゲームで杉山は5回ブレイクチャンスを迎えながら結局活かせず、そのままの流れで第1セットを落とす。
杉山は第2セットも早々にブレイクを許してしまったが、そこで焦ることなく、相手のスローペースなラリーから、得意の速い展開に持ち込みリズムをつかむことに成功し、直後にブレイクバックで応えた。もう1度ブレイクし4-1とリードして完全に流れを変えたかと見えた矢先、簡単なボレーをミスして次のブレイクを逃す嫌な展開もあったが、その後もペースを乱すことなくそのまま6-3でセットを取り返し、試合を振り出しに戻した。
第3セットに入ってまたも作戦を変えてきたパンは、第2ゲームで杉山からブレイクを奪い、3-0とリード。挽回しようと焦る杉山は、第4ゲームで2度のダブルフォールトを犯してピンチを招くが、何とかキープ。その後、1ゲームずつブレイクするが、観客の声援に支えられた杉山が底力を見せてラスト4ゲームを連取して試合をものにした。
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パンの攻撃に構える杉山 |
画像提供:tennis365.net |
試合後のインタビューでは、「今日の試合で一番の反省点は『相手のペースに合わせない』ということ。最後は観客の大声援が大きな力となって勝ちきることができました。」と杉山自身も語るように、内容的には苦戦したと言えよう。
サービング・フォー・ザ・マッチに入る前に、観客から「ゆっくりでいいよ!」という声が飛んだが、それについては「あの場面(ゆっくりとしたペースに手こずって、やっと迎えたサービング・フォー・ザ・マッチ)で聞きたくはない言葉でした。思わず笑ってしまい、間合いを取って気持ちの整理をした。普段、集中しているときは聞こえても気にならないけど、今回ばかりは気になってしまいました。」と苦笑い
していた。
次の対戦相手であるT・ゴロバン(フランス)については、「先週、ソウルで負けているので何とかリベンジしたい。敗れはしたが試合は拮抗していて大事なところで相手にポイント取られていた。地元での試合なので、先週の反省を活かして大事なところで自分がポイントを取っていけるよう心がけたい。」と抱負を語った。
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笑顔で会見に応える杉山 |
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また外国人記者に、『何故日本人は男子より女子のほうがランキング上位なのか?』との質問をされ、「女子は海外に積極的に挑戦しているが、男子はそれが少ない。また、男子の場合、サッカーや野球などのほうがスポーツとしてトライしやすいのかもしれない。」とコメントしていた。
去年はよりポイントを稼ごうと、今大会には出場せず海外の格の高い大会へ参加していた杉山だが、その頃から徐々にスランプに陥り始めていた。今年後半からようやく復調し始め、8月には久しぶりにティアI大会で準優勝するなど元気なところを見せている。AIGオープンでは1997年~98年に2連続優勝、99年にも準優勝しているだけに、今年も優勝候補の一人として勝ち上がって欲しいところだ。
(2005年10月6日)