◇東レPPO2011総括
日本で行われる最大級のテニスイベントである東レ・パン・パシフィック・オープン・テニス。3月の震災の影響で開催さえも危ぶまれた時期もあったが、無事に今年も東京・有明コロシアムで大会は開催されシングルスはアグニエシュカ・ラドワンスカ、ダブルスはリーゼル・フーバー/リサ・レイモンド組の優勝、大盛況のうちに大会は幕を下した。
世界に衝撃を与えた東日本大震災、情報が伝わらない海外では放射能の問題などが取りざたされるなか、今年も数多くのトップ選手達が来日、大会を盛り上げてくれた。また大会初日には出場選手たちによるセレモニーが行われるなど、被災地への支援に全力を尽くしている大会の意気込みが伝わってきた。
2日目をのぞき天候にも恵まれた今年の東レPPO、まず注目を集めたのが本戦に出場した4人の日本人選手、エースに成長した森田あゆみ、ウィンブルドンで3回戦に進出した土居美咲、予選を突破した瀬間詠里花、そしてクルム伊達公子。森田の2回戦進出が最高成績というさびしい結果に終ったが、大会序盤のハイライトとなったのは間違いない。
大会連覇を目指して来日してきた世界ランク1位のキャロリーン・ウォズニアキは、チャリティー・イベントへの参加やメディアへの対応など、過密スケジュールの影響からか3回戦でカイア・カネピの前に敗退、早くから今大会への出場を表明し、被災地への支援を呼びかけていただけに残念な形で今大会を去ることとなった。
また今年のウィンブルドン決勝の再現となったシングルス準々決勝では、マリア・シャラポワが自らのサーブ時に足首を負傷、そのまま途中棄権というショッキングな出来事もあった。シーズン終盤戦への影響が心配されるが、肩の怪我を乗り越えてトップに復帰した経験を生かし、今回も一回り大きくなって復帰してくることを期待したい。
また大会期間中には女子ツアーを主催するWTAのCEOであるステイシー・アラスター女史が表敬訪問に訪れるなど、今年の今大会がいかに世界から注目を集めているかが証明される出来事もあった。会見に臨んだアラスター女史は、被災地へのメッセージを送るとともに、今後の女子テニスツアーのあり方について言葉を残していった。
東日本大震災後の影響がありながらも開催された今大会は、日本のテニスファンのみならず、海外メディアでも大きく取り上げられるなど、世界中の注目を集める中で無事に成功を収めたのは、大会スポンサーならびにスタッフの尽力によるところが大きく、人の持つ大きな力を再認識させられる大会であった。