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日本はなぜ負けたのか、采配に差

添田豪
添田豪監督
画像提供: tennis365.net
男子テニスの国別対抗戦デビスカップ予選1回戦「日本vsオーストリア」(日本/東京、有明コロシアム、室内ハード)は6日と7日に行われ、日本は2勝3敗で敗れ予選1回戦敗退となった。両国の選手には世界ランキングで大きな差はなかったが、監督の采配に明確な違いがあった。

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日本は6日に行われた第1試合のシングルスで世界ランク166位(※大会時、以下同)の綿貫陽介が同135位のS・オフナー(オーストリア)を破り先勝するも、第2試合のシングルスでは同108位の望月慎太郎が同170位のJ・ロディオノフ(オーストリア)に敗れ、1勝1敗で初日を終えた。


2日目の第3試合のダブルスではダブルス世界ランク95位の柚木武と同896位の綿貫が、同23位のL・ミードラー(オーストリア)と同38位のA・エルラー(オーストリア)のペアを撃破し、日本は2勝1敗として勝利に王手をかけた。

そして、第4試合のシングルスに日本は予定通り望月が登場。一方、後がないオーストリアはメンバーをオフナーから世界ランク223位のL・ノイマイヤー(オーストリア)に変更。この試合で望月はノイマイヤーに敗れ、日本は2勝2敗に追いつかれる。

迎えた第5試合のシングルス、今度は日本が綿貫から世界ランク131位の西岡良仁にメンバーを変更。しかし、予定通り起用されたオーストリアのロディオノフに対し西岡は逆転で敗れ、日本は2勝3敗で敗れた。

勝利したオーストリアは9月に行われる予選2回戦でベルギーと対戦。そこでも勝利すれば、11月にイタリアで開催されるファイナルズ進出が決定する。

一方、敗れた日本は9月に行われるワールドグループ1部に回り、来年の予選1回戦出場を目指す。

両国のシングルスに出場した選手の世界ランキングに大きな差はなかった。さらに、日本よりも格上と言えるダブルスにおいては日本が勝利した。ではなぜ、日本は敗れたのか。

取材をする中で大きな違いを感じたのは両国監督の采配だった。

日本のエース望月は今季、大会前まで0勝5敗と勝ち星に恵まれていなかった。さらに、過去のデビスカップのシングルスでも0勝4敗と未勝利が続いている状況の中、今大会を迎えた。

それでも望月は大会前に「テニスとしては決して悪くないですし、そこまでネガティブにすごいなっているわけではまだないので、ここも良い準備ができていますし、前向きにやれると思います」と語っており、今大会からの巻き返しを期していた。

しかし、6日に行われた第2試合ではミスが目立ち、相手の2番手であるロディオノフにストレートで敗れた望月。試合後の会見では「正直なことを言うと、本当にどうしたらいいか分からないです。ずっと勝てていないですし、できるだけ最善の準備をしましたけれど、それでもやっぱりこれかという、すごく複雑な気持ちです」と言葉を振り絞った。

会見場にはここまで落ち込んでいる望月を翌日も起用できるのかという空気感が充満した。

そして7日、ダブルスでは綿貫と柚木が番狂わせを起こし日本は勝利に王手をかけた状態で第4試合を迎えた。

望月のメンバー変更の可能性もあったが、ここで発表されたメンバー変更は日本側の変更ではなく、オーストリアのエース・オフナーに代えて3番手のノイマイヤーが出場するというものだった。

昨年のデビスカップでは上位選手を破る活躍を見せてたノイマイヤーだが、世界ランキングでは望月が大きく上回る中、結果的に望月は敗れ、続く綿貫に代わって出場した西岡も敗れたことで、日本は敗退した。

試合後の会見で望月は沈痛な面持ちで「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と語るとともに、今後のデビスカップでのリベンジについては「自分に対してガッカリしてますし、これだけデビスカップで勝てないというのは、正直すごく悩むところもあります。チームが勝つことが誰が出ても最優先だと思うので、そこはもちろん自分がまた挑戦して戦いたいですけど、今自信を持ってはっきりとは言えないです」と明言できなかった。

そんななか、望月を送り出す決断をした日本の添田豪監督は2日目の采配について大会後の会見で説明した。

「綿貫が調子が良い中で彼をシングルスに回すという選択肢もありましたが、望月がナンバー1としてもう1回リベンジをしたいという気持ちがあって、エースとしてそのチャンスを与えたかったのでシングルスに起用しました」

「彼(望月)が出たいと言ったのはあるんですけど、いまいち自分の力が出せない中、プレーさせるっていうのは本当に辛いことを経験させてしまったというか、そういう舞台に送り込んでしまったっていうのは僕自身も采配した部分では責任はあります。ですが、絶対乗り越えてくれると思って起用しました。もちろん彼も落ち込んでるのは確かなんですけど、この経験が強くなるっていうのを信じてほしいです」

一方、オーストリア代表監督のJ・メルツァー(オーストリア)は第4試合でノイマイヤーを起用した理由について「オフナーの昨日(6日)のプレーがあまり良くなかったからだ。そしてノイマイヤーはこのような状況に対応できる準備ができている選手。彼はチームで力を発揮できる選手だからメンバー変更した。うまくいく自信はあった」と語った。

采配に正解はない。勝てば名采配、負ければ采配ミスとなるのが監督という立場が難しい理由だ。

その中で今回、添田監督が取ったのは温情采配、メルツァー監督が取ったのは非情采配と言えるだろう。

添田監督の言葉の端々から、22歳と若い望月にこの苦境を乗り越えてもらいたい、第4試合で勝利しリベンジを果たしてもらいたいという気持ちがにじみ出ていた。

結果的には敗れたためこの采配は裏目に出た。今回の対戦だけを見ると、采配ミスとも言えるかもしれないが、これは一概に間違った采配とも言えない。今後、望月が若きエースとして日本を牽引することができるようになれば、今回の采配が長期的には実りあるものとなるからだ。

さらに、第5試合に西岡を起用した理由も「彼(西岡)のデ杯の強さというのに期待を込めてこういったオーダーになりました」と選手を信頼しての起用だったと明かしている。

試合後に大会前に体調不良であったことを明かした西岡だが、これも勝利していればそういったストーリーも含めて名采配と言われていたかもしれないが、敗れたことでこれも采配ミスという結果になった。

一方、今回の対戦だけでいえば、メルツァー監督の采配は名采配と言える。「プレーがあまり良くなかった」という理由で1番手のオフナーに代えて3番手のノイマイヤーを起用したのだ。

世界ランキングの自己最高位もオフナーは37位、ノイマイヤーは157位と差があり、仮にノイマイヤーが敗れていれば、オフナーとの信頼関係も揺らぐ可能性もあった。敗退するリスクもあった中で今回の非情ともいえる采配をとれたのは、日ごろの選手との関係構築が上手くいっている証ともいえる。

それでも仮にノイマイヤーが敗れていれば、この非情采配は批判を伴う采配ミスにもなり得た。

添田監督の采配は、今回は采配ミスとして受け取られるかもしれないが、本当にミスだったかどうかは数年後の望月の代表戦での活躍ぶりが答えになるだろう。

【日本vsオーストリア 結果】


第1試合

綿貫陽介 6-3, 6-4 オフナー





第2試合
望月慎太郎 4-6, 5-7 ロディオノフ



第3試合

綿貫陽介/ 柚木武 7-6 (7-4), 6-7 (8-10), 6-4 ミードラー/ エルラー


第4試合
望月慎太郎 3-6, 3-6 ノイマイヤー



第5試合
西岡良仁 7-5, 1-6, 0-6 ロディオノフ

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