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衝撃のセレス襲撃事件から30年

モニカ・セレス
現役時代のモニカ・セレス
画像提供: ゲッティイメージズ
女子テニス界の歴史を塗り替えてしまった大事件から、30年の月日が流れた。19歳だったM・セレス(アメリカ)がライバルだったS・グラフ(ドイツ)の熱狂的ファンに背後から刃物で刺されたのは1993年4月30日だった。

それまで世界ランク1位だったグラフを抜いて女王の座にいたセレスは、グラフの祖国であるドイツのハンブルグ大会に出場しており、順当な勝ち上がりをみせていた。しかし、M・マレーバ(ブルガリア)との準々決勝で事件は起きた。セレスが6-4, 4-3とリードしたコートチェンジの時、チェアーに座っていたところを背後から暴漢に襲われた。

セレスは事件直後に病院へ運ばれ治療を受けた。外傷は時間が経てば回復へ向かったが、心の傷が癒えるにはかなりの時間を要した。復帰したのは約2年4ヶ月後となる1996年の8月。カナダのトロント大会で1セットも落とさず圧倒的な強さを見せ優勝。

その後、出場した全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)でも順当に決勝進出を果たし、決勝戦ではグラフと対戦。その時は世界ランク1位だったグラフと、特別措置で1位の座を守られていたセレスとは、世界ランク1位同士の決勝戦となったが、フルセットでグラフに軍配があがった。

女子テニス界の歴史を大きく変えたこの事件。その後のテニスシーンにも影響を与えている。コートチェンジ時にチェアーに座る選手は観客に背中を向けているが、今ではボールパーソンがコートから選手へ向かって立ち、選手の背後を監視するようなセキュリティ対策が取られている。

また、犯人は当時38歳だったグエンテール・パルチェで、その場で抑え込まれ逮捕された。彼は1000ドイツマルク(当時約6万5千円)を持ち、セレスが次に出場する大会の地、イタリアへの航空チケットを持っていた。その後、精神疾患との診断も下され、2年間の執行猶予の判決が下されるに留まった。なお、パルチェは昨年8月に68歳で亡くなっている。

今年で50歳となるセレス。事件後には自身の自叙伝で「何千人もの観客の前でコートの上で刺されたのです。あの事件から、自分自身を遠ざける事は不可能。あの事件で、私のテニス人生は一変してしまいました。そして、完全に心に傷を負ってしまったのです。あの一瞬で、私は全く別の人間になってしまいました」とつづっている。



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(2023年4月30日17時51分)

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